解決は1行。 著者:細田高広

【本の簡単な紹介】

 本書は、コピーライターが培ってきた『1行の解決力』を読者にも身につけてもらうべく、25の技術を紹介してあります。有名なキャッチコピーが例として取り上げられており、「なるほど!こんな技術があるのか!」と驚きと感動のある一冊です。

【本に出会ったきっかけ】

 文章力や伝える力というのは、人生において〝得する力〟だと思います。というのも、人は社会的な生き物であるため、相手に対して自分の気持ちや考え方を伝える場面が多々あります。そういった時に、文章力や伝える力が高い人ほど、人間関係は上手くいきますし、多くの仕事でも生かすことが出来ます。

 つまり、文章力や伝える力が高い人ほど、人生がうまくいくのです。と思った私は、文章力や伝える力を高める為に、本書を手に取りました。

【こんな人におすすめ】

 文章力・伝える力を高めたい人、キャッチコピーの技術を知りたい人、言語能力を高めたい人、営業職の人

 

《ここからは、本書で私なりに大事だなと感じた部分を引用しながら紹介します》

  • 1行の解決力を生み出す基本は、「つまり…」に続く一言で、伝えたいことの核心をまとめること

 よく文章の中に、「つまり…」という文が入っていますよね。この「つまり…」の1行には、前文の伝えたい内容がわかりやすく言い換えられて書かれています。

 例えば、

「海外の会社から、本日中に商品の輸送をお願いされた時は、どうしたらいいかわかりませんでしたが、同僚からの助言・協力により、無事商品の輸送完了しました。つまり、今回の成果は、皆様のご尽力のお陰です。

 といった感じです。

 1行の解決力というのは、一言・1行で物事の本質を伝える力なのです。

 では、ここからは1行の解決力を身につける術を共に学んでいきましょう。

  • 最強エピソード法 →  1行で物語る

 わかりやすい説明には、〝イメージできる言葉〟が使われています。下の【最強エピソード法】を活用した例を用いて説明しますね。

【例】

 私の長所は、真面目な所です。

      ↓

   夏休みの宿題は、休みの初日で終わらせるタイプです。

 

 さて、【例】の2つの文、どちらの内容も〝真面目〟であることがわかります。ですが、どちらの方が、より〝真面目〟な感じがするでしょうか?

 きっと、後者「夏休みの宿題は、休みの初日で終わらせるタイプです」の文だと思います。というのも、後者の文は〝イメージできる言葉〟になっているからです。〝イメージできる言葉〟というのは、いわば具体的な言葉なのです。前者は「抽象的な文」なのに対して、後者は「具体的な文」になっているため、伝わりやすいのは〝後者の文〟となる訳です。

 この【最強エピソード法】は、おすすめの伝え方ですので、是非機会があれば使ってみてください。この技術を使った企業のキャッチコピーも載せておきますね。

「目が悪いだけなのに、先輩には、目つきが悪いと言われる。」

 ーハートアップー

「ハミガキできず、人が死ぬ。この国の話です。」

 ーオーラルピースー

  • 矛盾語法 →  矛盾を組み合わせて新たな言葉をつくる

  ー解決は1行。ー

 新しいアイディアとは、今有るアイディアの組み合わせによって生まれます。これは、新しい言葉も同様です。

例えば、

「コスト」+「パフォーマンス」=「コスパ(コストパフォーマンス)」

「筋肉」+「トレーニング」=「筋トレ(筋肉トレーニング)」   となります。

 【矛盾語法】は、この言葉の組み合わせに〝意外性〟を取り入れ『AなのにB』という文を作る方法です。すごく面白い言葉を作ることが可能になるので、是非使ってみてください。

【例】

 ご近所なのに留学と同じ効果がある

    ↓

 駅前留学

  ー英会話のAEONー

「無印なのに良品」

 ー無印良品

「水を食べよう」

 ーポカリスエットゼリーー

  • 比較法 →  比べることで、メッセージの解像度を上げる

 比較することの良さは、「明確さ」「発見」「優先順位」が生まれることです。順番に説明していきますね。

「明確さ」

 例えば、会社の連携感を高める為に『チームになろう』というメッセージを伝えたいとします。

 そこで、社員達に『チームになろう』と言うのと、【比較法】を用いて『組織より、チームになろう』と言うのでは、後者の方が『チーム』への解像度が高まります。

 つまり、比較法を用いることで、言葉の解像度を上げる=具体的な表現につながるということです。

【例】

 『ユーザーの目線で考える』

      ↓

 『プロ目線より、ユーザー目線で考える』 

「発見」

 比較することで、意外な発見をすることがあります。誰しもが、比較することで『当たり前』だと思っていたことが、『当たり前』ではないということに気づく場面があります。

 私の場合だと、『綺麗な水が飲めること』です。私は、以前フィリピンに留学したことがあり、約1ヶ月間という短い期間ではありましたが、色々な気づき・学びを得ることが出来ました。

 その中の一つが『綺麗な水が飲めること』は当たり前ではない。ということです。日本では、蛇口から出てくる水(水道水)は大抵飲める水です。それに、蛇口から出てくる水で洗面台が黄ばんだりしません。

 では、フィリピンはどうでしょうか。実は、フィリピンの場合だと蛇口から出てくる水(水道水)は飲めません。もし仮に飲んでしまうと腹痛と下痢に襲われます。なぜでしょうか。

 理由は、フィリピンの蛇口から出てくる水は、〝浄化されていない水〟だからです。

 ここで知っておいて欲しいのは、実は、水道水が飲める国は〝日本を含め世界でたった12カ国〟(国土交通省「2021年版 日本の水資源の現況」)しかないということ。

 比較をすると、こういった発見が生まれてきます。

【例】

 日本の水道水は飲むことができる

      ↓

 水道水が飲める国が少ないが、日本の水道水は飲むことができる

「優先順位」

 比較することは、効果的な指示に繋がります。理由は、「優先順位」が生まれ、何から手を付けていいかが分かるためです。Face book(フェイス・ブック)のCEOマーク・ザッカーバーグの言葉を紹介します。

 「完璧を目指すより、まず終わらせろ(Done is better than perfect.)」

   ーFace book マーク・ザッカーバーグ

 「まず終わらせろ」というメッセージに「完璧を目指すより、」という比較表現が用いられていることで、よりメッセージの大切さ・重要度が伝わってきますね。

 つまり、メッセージの大切さ・重要度が伝わる=優先順位が生まれる ということです。

  • 0→1ではなく、100→1

  ー解決は1行。ー

 最後に、本書で特に心に残った〝質を高める一言〟を紹介します。

 私たちは、〝0→1を生み出す〟為に、色々な知識・技能を学んだり、長い時間をかけて思案します。そこで、覚えていて欲しいのは『最初から正解に辿り着くことは、ほとんどない』

ということ。誰しもが、たくさんの挑戦と失敗をして、成功に辿り着きます。

 これは、文章や言葉も同じで「とにかく書き続ける」「思いつく限りの言葉や考え方を出す」ことで〝最良の一言〟が見つかるのです。

 つまり。何かを成し遂げたり、何かを生み出し得たりする人程、「たくさんの行動(100)から成果(1)を出す」のです。

 何かに行き詰まった時こそ、〝行動してみる〟を意識してみてください。

 以上が、私が本書で特に大事だなと感じたことです。ここでは紹介しきれなかった数多くの『1行の解決力』が本書で詳しく紹介されています。「文章力を上げたい人」「相手を惹きつけるような言葉を生み出したい人」は是非、本書を手に取ってみてください。

 ここまで読んで頂き、ありがとうございました。また次回もお楽しみにお待ちください。